B.作曲教室
 
作曲のポイント
 
@ 頭に浮かんだメロディーを何回も口ずさみ、ぴったりのものをテープに録音します。A リズムパターンとコード進行を重ねたものを聞きながら、アイデアを練ります。
B コードを先に決めて、後でメロディーをつけるのもよい方法です。
C 曲や歌詞のイメージに合わせて、曲作りの設計図を考えます。
D 何度も歌ったり、弾いたりしながら細かい手直しをします。
           ● 歌詞ノート式作曲法
@ 歌詞を形式を考えてノートします。
 ・ コードや休符等をメモするスペースをたっぷりとっておきます。
A 歌詞のイメージに合わせて、キー・拍子・リズムなどを考えます。
B コードを鳴らしながらメロディーを作ります。
 ・ 一つのフレーズができたらメモします。
 ・ 小節の区切りもメモします。
 ・ 一度に全部作ろうとせず、いろいろなコード進行やモチーフを試します。
 ・ できたものはどんどんカセットに録音します。
C 全体の流れや山場を見直します。
D 何度も歌って、細かい手直しをします。

 
作曲の手順
1.歌詞の内容をよく読む長調か短調か、どのキーか、何拍子か
2.形式を決める
3.歌詞を各小節に割り当てる
4.コード進行をつける山場を工夫する 
5.リズム型を考える
6.旋律線(メロディーライン)を計画する
7.コードの音だけで   メロディーを作る
 
第1フレーズを作る(最初の動機 続く動機)
第2フレーズを作る
第3フレーズ以降を作る
8.非和声音を加えて、ぎこちない部分を直す

 
作曲の方法
 
1.歌詞の内容をよく読む
 歌詞を何度も読み、詩の心や雰囲気、山場などを刻み込みます。
@ 長調か短調かを決める
 どんな雰囲気の曲かを考え、長調か短調かを決めます。
長調     ドレミファソラシド
 明るい雰囲気   半音   半音
短調        ラシドミファソラ
 落ち着いた雰囲気  半音 半音

A キー(key)を決める
 音域を考え、どのキーで作るかを決めます。

B 拍子を決める
 雰囲気や言葉のリズムを元に、何拍子にするかを決めます。
二拍子系(2/2・2/4)……軽快に走ったり、いきいきとした感じ
三拍子系(3/4) …………丸みのある軽やかさ、優雅に踊るような感じ
四拍子系(4/4) …………落ち着いた静けさ、歩く感じ
六拍子系(6/8) …………ゆったりとしたつややかさ

 
2.形式を決める
@ 一部形式/8(4+4)小節/a−a'−a−b
 2つのフレーズで、1大楽節を構成する曲。
A 小三部形式/12(4+4+4)小節/a−b−a a−b−c
 3つのフレーズで、構成された曲。
B 二部形式/16(4+4+4+4)小節/a−a−b−a' a−a'−b−b'
 大楽節2組で構成された曲。
C 三部形式/24(8+8+8)小節/A提示a−a'−B展開b−b'−A再現a−a'
   Aa−a'−Bb−b'−Cc−c' Aa−b−Cc−c'−Aa−b
   Aa−a'−Bb−c−Aa−a' A−A'−B A−B−C
 大楽節3組で構成された曲。
D 32小節/A−A−B−A' A−A'−B−A" A−A'−B−B'
   A−A'−B−C
 大楽節4組で構成された曲。
E 40小節/A−A'−B−C−C'
 大楽節5組で構成された曲。
*abc……全く違うメロディー
*aa'(bb'・cc')……よく似たメロディーで、主に後半が変化する。
3.歌詞を各小節に割り当てる
 小節の数に合わせて、歌詞を言葉の句切りで分け各小節に振り当てます。
(例)あかいはな|さいていた|あのやま|で|
 
4.コード進行をつける
 
 
@ コードの流れ
  T U V  W  X  Y  Z
長調


 
ドミソレファラミソシファラドソシレ(ファ)ラドミシレファ
EmG(7)AmBdim
AmBmD(7)Em
GmAmB♭C(7)Dm
短調


 
ラドミシレファドミソレファラミソシ(レ)ファラドソシレ
Bm7-5E(7)
Fm♯7-5B(7)
Em7-5A(7)B♭

 
主和音
曲の始まりや終わりにもちいる。
T⇒WX(UYV)
属和音
 主和音をもり立て、終わりの主音に進めるためには、X和音から入る。
   X⇒T(W)
下属和音
歌の盛り上がりや展開の部分の始まりにもちいる。                 W⇒Y(U)
 ● その他 U⇒X ・V⇒WX(Y) ・Y⇒X(WUV)
A 終わり方
『落ち着いた終わり方』
 ・ 完全終止X⇒Tの主音/長調(シレソ ド)短調(ソシミ⇒ラ)
   *Xの代わりにX7(長調シレファソ短調ソシレミ)がよく使われます。
   *変格終止(W⇒Tへ進んで終わる)
   *偽終止(X⇒Wへ進む)
『続く感じの終わり方』
・半終止X/長調(ソシレ)短調(ミソシ)
・不完全終止/X⇒Tの3か5音
 長調(ソシレ⇒ミソ)
 短調(ミ♯ソシ⇒ドミ)
  フレーズ 4 5 6
  一部形式 
小三部形式 
 二部形式 
  三部形式
  ○続く感じの終わり方

                      ●落ち着いた終わり方
 
B コード進行パターン
『基本形』
T−X−T(C−G−C/G−D−G/F−C7−F)
T−W−T(C−F−C/G−C−G/F−B♭−F)
T−W−X−T(C−F−G7−C/G−C−D7−G/F−B♭−C7−F)
短調Am−Dm−E7−Am/Em−Am−B7−Em/Dm−Gm−A7−Dm
『変化形』
T−U−X−T(C−Dm−G7−C/G−Am−D7−G/F−Gm−C7−F)
T−Y−W−X(C−Am−F−G/G−Em−C−D/F−Dm−B♭−C)
T−Y−U−X(C−F−Dm−G/G−C−Am−D7/F−B♭−Gm−C)
T−V−U−X(C−Em−Dm−G/G−Bm−Am−D/F−Am−Gm−C)
T−V−W−X(C−Em−F−G/G−Bm−C−D/F−Am−B♭−C)
T−V−Y−W−X
 (C−Em−Am−F−G/G−Bm−Em−C−D/F−Am−Dm−B♭−C)
短調Am−Dm−G−F−E7/Em−Am−D−C−B7/Dm−Gm−C−B♭−A7)
C 循環コード……4度ずつ循環します。T−W−W−U−X−T
長調(C−F−Dm−G7−C-) 短調(Am−Dm−G−C−F−Bm7・5−E7−)
 
5.リズム型を考える
 言葉や曲のイメージ・拍子からリズムのパターンを考えます。
 ・ むやみやたらといろいろなリズムを織り混ぜると、歌いにくく覚えにくくなります。            
【リズムパターン】
1拍目から始まる2拍目から始まる3拍目から始まる

 
6.旋律線(メロディーライン)を計画する
 詩や曲のイメージを元に、メロディーの流れを表し、曲の概要をつかみます。
● 曲の流れのパターン

 
  
7.コードの音だけでメロディーを作る
@ 最初の2小節(モチーフ/動機)を作る
 ・ 主和音Tの中の音から始めます。
   /長調(ドミソ)短調(ラドミ)
 ・ なるべく順次進行(同じ音や隣の音)します。/例(ド⇒レ⇒レ⇒ミ)
 ・ 跳躍するときは、和音内の音から音へ。/例(Cコード;ド⇒ミ⇒ソ⇒ド⇒ソ)
 *動機(モチーフ)とは、曲を構成している最小の曲のまとまりで、同じパターンは、2〜3回までにして変化をつけます。
A 1フレーズ目を作る/a
 ・ つなぎの音(最初の動機の最後の音と、2番目の動機の最初の音との開き)を工夫します。
  1度(淡々とした語り調) 5度(跳躍感、力強さ) 
  2度(落ち着き、自然さ) 6度(柔らかさ、哀愁) 
  3度(安定感、落ち着き) 7度(鋭さ、不安定)  
  4度(広がり、優雅さ)  8度(スケールの大きさ)
 ・ 前半の動機に対して、答えを返すように。
 ・ 続く感じで終わります
   『半終止』X/長調(ソシレ)短調(ミソシ)
   『不完全終止』/X⇒Tの3か5音長調(ソシレ⇒ミソ)短調(ミ♯ソシ⇒ドミ)
 B 2フレーズ目を作る/a’
 ・ 前半の動機は、aの最初の動機と同じメロディー 
 ・ 落ち着いた感じで終わります。         
   『完全終止』X⇒Tの主音
   長調(シレソ⇒ド)短調(ソシミ⇒ラ)
   *変格終止(W⇒Tへ進んで終わる)
   *偽終止(X⇒Wへ進む)
C 3フレーズ目を作る/b
 ・ 対象の動機(WかX)で始めます。
    長調(ファラド)短調(レファラ)
    長調(ソシレ)短調(ミソシ)
 ・ 続く感じの終わり方 
D 4フレーズ目を作る/a’又はb’
 ・ a’……2フレーズ目と同じ 
   b’……前半の動機は、bの前半の動機と同じ
 ・ 二部……落ち着いた終わり方 
   三部……続く感じの終わり方
○ 三部形式の場合は、5・6フレーズ目を作る
 ・ 一般的には、第1、第2フレーズと同型のことが多い。
E 言葉の特徴(抑揚、リズム)から全体をまとめる
 ・ 言葉の抑揚は旋律線の上で考えます。
 ・ 言葉のリズムを生かします。
 ・ これらを五線譜に表現します。
 
8.非和声音を加えて、ぎこちない部分を直す
@ 非和声音(和音と関係ない音)をいれます。
A 全く別の音を加えます。
B 元の音と入れ替えるなど。
 



前のページへホームページへこの章の目次へ次のページへ