1ー1.みんなキャンプを待っている 

 わんぱくキャンプへの期待度をみてみますと、約90%の人が、“とても楽しみ”もしくは“楽しみ”にしています。
 子どもたちは、いったいなにをキャンプに期待しているのでしょうか。
 
 @ 友達作り
 マイホーム主義あるいはマイルーム主義による人間関係の喪失、機械化・合理化における人間性の喪失、学歴社会での受験競争にみられる協力の喪失、塾通いやテレビゲームによる集団性の喪失。いろいろいわれていますが、人間は本来、集団の中で生きていきますから、子どもたちは、キャンプで友達を作りたい、友達と協力したいということを望んでいます。
A 元気に遊ぶ
 子どもにとって、“遊び”はとても大切なものです。しかし、社会的状況をみてみますと、自由に遊べる場所は少なくなり、学校から帰っても塾やお稽古ごとなどで遊ぶ時間もありません。また、個人個人の生活パターンが多様化しているために、友達と一緒に遊ぶこともできにくくなっています。遊びの内容をみてみますと、あまりにも危険防止を考えて、野外での遊びが禁止される場合が多くありますし、テレビやテレビゲームに象徴されるような個人での遊びが全盛です。遊び道具はといいますと、商品化された、受け身的な創造性に乏しい人工の遊具に遊ばされているという状況があります。
 今ほど、子どもの手に自由で創造的な集団遊びが取り戻されなければならないと、望まれている時代はないでしょう。
B 自然とのふれあい
 人間は本質的に動物としてのヒトであり、自然とのふれあいなしには生きていくことができません。しかし、文明の発達とともに自然から遠ざかり、自然を破壊し、自然を感じることができなくなってきました。今その反省から、自然環境保護が叫ばれ、オートキャンプのブームにみられるように自然への関心が高まっています。このような中で、子どもたちはキャンプにいくことによって自然とふれあうことを求めています。
C 野外生活の体験
 私たちの生活は機械化・電化が進み、スイッチ一つでほとんどのことができてしまうほど物質的に豊かで楽になってきました。反面、自らが創意工夫したり、自らの手や体を使って作り上げていく生活体験が少なくなってきました。その結果、生活実感がなくなり、生きている手応えがなくなってきています。そこで、キャンプに出かけ、不便ともいえる生活をする中で、自分の手を使い頭を使うことで、生きていることのあかし・生きていく力を取り戻そうとしています。
 
D 自分で何でもできる
 子どもたちにとって、自分がやりたいことを思い通りにやれたり、自分を素直に表現できる場面はなかなかありません。“子どもに自主性を”といいながら、実際には大人の管理があります。その管理からはずれた場合、社会的なルールからもはずれることが時としてあります。その点からもキャンプにおいて、子ども自ら働く主体的な活動が注目されています。
E 思い出づくり
 子どもたちは、友達と一緒に活動することを通して、遊ぶことを通して、自然とふれあうことを通して、自主的な活動することを通して、野外での生活体験を通して……、一つ一つの体験を積み重ねて成長していきます。キャンプでの体験は、感動を生み、楽しい思い出として心の中に残っていきます。



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