2−10.ストーリーを考えます
 
 ドラマキャンプにとって、ストーリーは命ともいえるものです。どのようにしたら子ども達をドラマの世界に入り込ませることができるか、どんな物語が楽しいのかを考えていきます。
 
ストーリー作りのポイント
ストーリーは、キャンプの目的を達成することをねらいとして考えます。
ストーリーは、あまり複雑化しないようになるべく単純にします。
ストーリーと活動内容が分離しないように、常に調整しながら考えていきます。
ストーリーは、キャンプ場の環境を生かすようにします。
キャラクターを決めると、ストーリーが作りやすくなります。
・活動内容や活動場所を決めてからストーリーを考える方法もあります。
・子ども達をドラマに引き込むための仕掛けを考えます。
 
ストーリーの作り方
1.ドラマのジャンルを設定します
 最初に、どんなドラマにするのかジャンルを設定します。
・不思議な世界のファンタジー、夢と冒険のアクション活劇、なぞに満ちたミステリー、愛と友情のロマンス、未来世界をのぞくSF、楽しく愉快なコミカルなど。
2.モチーフ(題材)を探します
 どんなストーリーにするのか、モチーフを探します。
・キャンプ地の伝説や民話を活用する。
・小説や絵本を参考にする。
・映画やテレビから見つける。
・町を散歩しておもしろいものを探す。
・その他、いろいろのものに興味をもち探しましょう。ストーリーの題材になるものはたくさんあります。
【モチーフ活用の方法】
 既存のストーリーをそのまま使ったのでは、オリジナリティーがありません。そこでいくらか変化を加えて活用します。
・ストーリーの流れはそのままで、キャラクターや舞台を変えます。
・キャラクターや舞台はそのままで、ストーリーを変えます。
・既存のストーリーの続編を考えます。
【モチーフ作成の例】
 『ピーターパン』のお話しが大好きだ。ピーターパンのお話しをキャンプでやろう。
3.ドラマとなる舞台の設定や大まかなキャラクターを決めます。
 ドラマに登場するキャラクターを決めておくと、ストーリーが作りやすくなります。また、ドラマの舞台をキャンプ地にあわせて決めておくのもいいでしょう。
【キャラクター作成の例】 
 ピーターパンとティンカーベル、フック船長はそのまま活用する。今までのキャンプで登場した仙人善養院はわんぱくたちの味方として、邪神は敵役として登場させよう。舞台はネバーランドをそのまま使い少年自然の家の地形を当てはめていく。
4.あらすじを作ります。
 どんなお話しにするのか、ストーリーのあらすじを作ります。このとき大切なことは、キャンプの目的や方針にあわせてストーリーを考えることです。
【あらすじのいろいろ】
・行方不明になった人を捜す。      ・事件を解決する。
・さらわれた人を助ける。        ・ケンカ別れしている人と友達になる。
・困っている人を助ける。        ・未知の世界を探検する。     
・奪われた品物を取り戻す。       ・隠されたなぞを解決する。    
・隠されている宝物を見つける。     ・自分たちの国を作る。      
・悪者を倒し、平和を取り戻す。
など、いろいろ考えられます。また、実際にはこれらが組み合わさってあらすじが作られます。
【あらすじ作成の例】
 ネバーランドでは、自然を破壊しようとする邪神に操られたフック船長が悪さをしています。わんぱくたちはピーターパンや善養院と協力して、フック船長にさらわれたティンカーベルを助け、フック船長によい心を取り戻します。
 ● キャンプの目的
 ・自然を大切にする、ともだちをつくる
5.参加者を引き込む仕掛けを考えます。
 ドラマの世界に子ども達をスムーズに引き込むための仕掛けを考えます。
【参加者を引き込む仕掛けの色々】 仕掛け作成の例】
・暗号を解く。→暗号文を解読すると、フック船長の居場所が分かる。
・目的を達成するためのアイテムを探す→フック船長を倒すアイテムを見つける。
・目的を達成するために修行をする→善養院に会うためには修行が必要。
・宝物を手に入れる→聖霊に会うとゴールド(金貨)がもらえる。
・なぞの事件が起こる→突然水が出なくなったり、薪がなくなる。
・目的達成の途中でわながある→フック船長のところへ行くために、わな(ゲーム)をクリアーする。
・ドラマ独自の地名をつける→ネバーランド、修行の森、遊びの広場。
・敵を倒す→フック船長との対決。

  
6.ストーリーの流れを組みます。
 『起承転結』などの手法を使って、お話しがどのように進んで行くのかストーリーを考えていきます。
……お話しの始まり。ドラマの舞台設定や中心となるキャラクターが出てきます。
……お話が発展し、深まっていきます。
……クライマックスで、何か事件や変わったことが起こります。
……その事件が解決します。
【ドラマへの導入方法のいろいろ】
・助けてほしいとか、事件を解決してほしいとか、何かを探してほしいといった手紙がきたり、キャラクターが登場して頼みます。
・ある世界への招待状がきます。
・突然、事件に巻き込まれてしまいます。
・ある小さななぞを解いていくと、より大きな事件にぶつかります。
【ストーリー作成の例】
招待状をもらったわんぱくたちがネバーランドにやって来ました。
わんぱくたちは、ピーターパンたちと一緒に子どもの国『わんぱく共和国』を作って遊びます。
ところが、ティンカーベルがフック船長にさらわれてしまいました。わんぱくたちはフック船長が仕掛けたわなをくぐり抜けながら、ティンカーベルを助けに行きます。
フック船長の元へたどり着いたわんぱくたちは、善養院やピーターパンと協力してフック船長を倒し、フック船長によい心を取り戻させます。


7.ストーリーとキャンプの活動を結び付けます。
 ドラマのストーリーと、キャンプの活動内容や条件を重ね合わせ、結び付けていきます。このとき、できることとできないことを判断します。
【結び付けの例】
ドラマキャンプ活動
・わんぱくたちがネバーランドへくる開村式でピーターパンが登場してネバーランドの説明をする。
・わんぱく共和国を作り、建国祭をする探検、小屋作り、服作り、水鉄砲作り、野外炊飯、バーベキューパーティー、キャンプファイヤー
・ティンカーベルがさらわれるイニシアティブゲーム、課題ハイキング、ネイチャーゲーム
・ティンカーベルを助けるロールプレイングゲーム、昼食、作文、閉村式


8.ストーリーやプログラムを手直しします。
 もっとおもしろくするためにはどうしたらいいか、ストーリーとプログラムがうまくかみ合っていないところはないかなど、細かいストーリーを考えたり、プログラムの調整をします。
【ストーリー調整の例】
ストーリーキャンプ活動
招待状をもらったわんぱくたちがネバーランドにやって来ました。→・開村式にピーターパン登場
ところが、なぞの音がして薪がなくなったり、水が出なくなってしまいました。→・薪集め、水はこび
わんぱくたちは、子どもの国『わんぱく共和国』を作って遊びます。→・小屋作り、水鉄砲作り、服作り、パン作り、探検
夜には、建国祭を催し、パーティーやキャンプファイヤーをやりました。→・バーベキュー、キャンプファイヤー
フック船長が現れ、ティンカーベルをさらってしまいました。→・フック船長登場
フック船長の居場所を突き止めるためには、4つのカギを見つけ宝箱の中の地図を手に入れなければなりません。 →・迷路、担架運び、ネイチャーゲーム・水鉄砲合戦
地図を元に進んで行く途中、フック船長のわなをクリアーしたり、暗号を解かなければなりません。→・イニシアティブゲーム、手旗信号解読
フック船長の元へたどり着いたわんぱくたちは、フック船長を倒すためにみんなで時計の音を出したり、ワニの姿を作ったりして攻撃をします。→・ロールプレーイングゲーム
ティンカーベルを助けるためには、フック船長を倒すのではなくよい心に改心させなくてはならないことを善養院から聞いたわんぱくたちは心を一つにして祈ります。→・善養院登場
→・みんなでじゅ文を唱える
祈りが通じて、邪神に操られていたフック船長はよい心を取り戻しわんぱくたちと友達になりました。→・邪神登場
すべてが解決した後、わんぱくたちは助けてもらったお礼にティンカーベルからお弁当をもらい、思い出を作文に書き、別れを惜しみながら帰って行きました。→・昼食、作文、サイン会、記念写真、閉村式


9.役作りと打ち合わせをします。
 配役を決め、役作りや小道具作り、細かい打ち合わせ、リハーサルなどを行います。
 
継続キャンプの場合
・テーマはそのままで、連続ドラマ(キャンペーン形式)にするのもいいでしょう。
・毎回登場するアイドルキャラクターを作っておくと、ストーリー作成が楽になります。
 



 
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