5−16.ネイチャーゲーム
 
 ネイチャーゲームは、子どもから年配者までのすべての人々が、自然を楽しみながら、自然のすばらしさに感動し、自然への理解と体験と豊かな感性を得るための環境教育プログラムです。
 1979年米国のナチュラリスト、ジョセフ.コーネル氏によって考案され、日本においては日本ネイチャーゲーム協会が普及に当たっています。
@ 知識や年齢に関係なくできます。
A 町中の公園等でも手軽にできます。
B 五感を使って自然を直接体験できます。
C 大人と子どもが一緒に楽しめます。  
D 参加者の心とからだの状態に合わせた 
E ゲームの組み合わせが可能です。    
 
【ネイチャーゲームの効果】
@ 自然、環境への理解が深まります。
A 五感による自然体験が得られます。
B 自然の美しさや雄大さが発見できます。
C 感受性が高まります。
D 自然を通して参加者がお互いに理解し合えます。
E 自然の中で心と身体をリラックスさせることができます。
 
【自然への気づき】
 五感で自然を感じ、心と体で直接自然を体験することによって、自然への親しみと理解を深め、自然との一体感を得ることができます。”自然への気づき”は、環境教育の最初の段階でもあります。
 
【わかちあい】
 ネイチャーゲームでは、自然を知識として一方的に教えるのではなく、共に自然を感じ、自然から受けた感動や喜びを分かち合うことにより、より深い教育効果を生み出します。@ 教えるよりも分かち合おう
A スタッフは受け身でいよう
B チャンスを逃がさないで
C 体験第一、説明は後で
D 楽しさは学ぶ力   
 
 【フローラーニング】
 参加者の心理状態やテーマに合わせて個々のゲームを一つの流れ(フローラーニング)にのせることで、効果的にいつの間にか自然の中に深く入り込むことができます。
@ 第一段階/カワウソ……楽しく体を動かしながら、自然への関心を呼び起こします。
A 第二段階/カラス………五感を研ぎすませて、自然への感覚を広げます。
B 第三段階/クマ…………心を落ち着けて、自然との一体感を感じます。
C 第四段階/イルカ………みんなの自然体験や感動を分かち合い共有します。
 
【ネイチャーゲーム支援のポイント】
@ 下見をしっかり
 そのフィールドにふさわしいゲームを選ぶために下見をしっかりします。また、安全対策にも気を配っておきます。
A テーマを意識して
 フィールドの自然の様子、季節、対象者、ねらい等に応じてテーマを設定します。
B フローラーニングを考えて
 フローラーニングを考えることによって、より深く自然を体験することができます。参加者の状況やテーマに合ったゲームをそれぞれの段階の中から選び出して、組み合わせます。
C ゲームの手順をきちんと
 ゲームのねらいを達成するためには、手順をきちんとふむことが大切です。ゲームを盛り上げるためのポイントを確実に押さえることによって、より効果的に支援することができます。
D 分かちあいを十分に
 ゲームが終わったら、感じたことをお互いに分かち合います。この分かち合いによって、どんなことを感じているのか、何に感動したのか、心にどんな変化が起きているのか等を知ることができます。そして、自分が気づかなかったことを知ることにより、参加者の意識が変革していきます。
 
【準備物】必要に応じて□ゲーム用品(ロープ、ゲームカード、バンダナ等)
【一つのゲームの流れ】
@ 導入とやり方の説明……ゲームのやり方を説明します。
 ・ リラックスした雰囲気を作りだし、そのゲームに関連した自然についての話をした  り、注意を引くような品物を見せます。
 ・ 説明では、ポイントを押さえ、モデルを使ったりして分かりやすく説明します。
A 実施……ゲームを実施します。
 ・ スタッフもゲームに参加すると同時に、メンバーの動きにも心を配っておきます。B 分かち合い……感じたことをお互いに分かち合います。
 ・ メンバーから話が出てくるように進めます。
 ・ まとめは、スタッフの願いでしめくくります。
 
ネイチャーゲームの例
 
コウモリとガ/カワウソ
@ 全員で輪を作り、コウモリとガの“食う、食われる”についての話をし、コウモリ1 名とガを2〜4名決めます。
A コウモリとガは、輪の中に入ります。このとき、コウモリは目隠しをします。
B 周りの輪の人は手をつないで壁を作ります。
C コウモリは「バット」と叫び、ガはそれに応えて「モス」と叫びます。コウモリは、 「モス」の声を頼りにガを捕まえます。タッチされたガは、壁になります。
D 何回か交替した後、“食う、食われる”についての振り返りをします。
 
カモフラージュ/カラス
・ 事前にロープに沿って奥行き2m位の間に、10〜20個の人工物を置いていきます。
@ メンバーは、一列になって人工物を見つけて声を出さないように数を数えていきます。
 ・ 前の人を追い越してもよいが、後戻りしてはいけません。
 ・ ロープの中に入ったり、人工物に触れてはいけません。
A ゴールしたら、他の人に聞こえないようにリーダーに数を伝えます。
 ・ リーダーは、どの位当たっているか大まかな目安を知らせます。
B 何回か挑戦した後で、みんなで確認していきます。
 
目隠しトレイル/クマ
・ 事前に木から木へと30〜60mロープを張って、トレイルを作ります。
@ トレイルの見えないところで、ルールを説明します。
 ・ 右手でロープを持ち、左手で前を探りながら歩きます。このときしゃべりません。
 ・ ただ歩くだけでなく、手に触ったものの感触や、匂い、温かさ等を十分に感じます。
 ・ ゴールしても、合図があるまでは目隠しを取りません。
A バンダナで目隠しをして一列に並び、前の人の肩に手をのせ、リーダーの誘導でトレイルのスタート地点まで進みます。
 ・ このときに、自然を感じる方法を伝えておきます。
B 前の人と5m以上間隔をあけて、一人ずつ出発します。
C 左手で探りながら、トレイルに沿ってゆっくり進みます。
D ゴールに到着したら、リーダーは景色のよいところまで誘導し、座らせて待たせます。
E 全員がゴールしたら目隠しをとり、感じたことを振り返ります。
 
サイレントウォーク/イルカ
@ 動物は親指、植物は人差し指、音は中指……というようにサインを決めます。
A 二人組みになり、スタートからゴールまでいろいろな自然を探しながら進んでいきます。このとき一切口を利いてはいけません。その代わりに自分が見つけたことを指のサインで知らせます。
B ゴールしたら、話をしても0Kです。自分たちが見つけたものについての話をします。



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