1-3.ドラマキャンプはすごい
 
 ドラマキャンプに参加した後の感想を見てみると、参加者は約90%が、保護者は約97%が“とてもよかった”と“よかった”という思いをもっています。
 子ども達にとっては、ドラマキャンプに参加することで、火を扱うことができるようになった、ナタやノコギリ・包丁などがうまく使えた、ご飯や料理が上手にできたといった日常生活ではあまりやらない体験に達成感をもっています。また、友達とうまくやれたという人間関係にも満足しています。自分の力でやり遂げたという充足感があり、ドラマやゲーム・キャンプファイヤーといった活動にも楽しむことができます。
 保護者にとっては、子ども達から楽しかった話を聞いたり、子どもの成長を目の当たりにすることで子どもを参加させたことを喜んでもらえます。




ドラマキャンプの原理

 キャンプには、中でもドラマキャンプには子どもたちを感動させ、よりすばらしい人間を育て、生きていることの喜びを教えてくれる力を持っています。
 
A.自然の中での生活がある
日常生活から離れた世界
 日常生活では経験できないことを体験し、自分の殻を打ち破ることができます。
自然に直接ふれます
 自然に直接ふれることで、忘れていた野生を取り戻すことができます。そこで得た感動は、感性を育み、人間の生き方さえ決めることがあります。
冒険と挑戦
 自然の中には、危険な場面もあり、未知に対する不安もあります。これらの危険や不安に挑戦し、克服することで、自分の世界が広がっていきます。
生活
 自分が動かなければ、汗を流さなければ、食べることさえできません。生活の厳しさを教えてくれるとともに、汗を流す喜び、参加することの喜び、達成したときの喜び、生きることの自信を手にすることができます。
 
B.遊びがある
楽しい
 遊びにとって重要なことは“楽しい”ということです。キャンプにおいても楽しいことが第一条件にされなければなりません。
創造力
 不便さや課題を克服するために、あるいはプログラムをより楽しくするために創意工夫が始まります。その結果はすぐに現れて来ます。そして、1つの創造はより大きな創造へとつながっていきます。
自由
 自分のやりたいことをやってみることができる自由があります。失敗しても、“キャンプだから”ということで許されます。
手作り
 キャンプの中の活動はすべて手作りのものです。テレビゲームなどの人工の遊具とは違う温もり、おもしろさがあります。
 
C.人間関係がある
孤独と友情
 自分を保護してくれる家庭から離れての生活は、孤独を感じます。しかし、その孤独は仲間や友情と結びき、お互いに助け合います。
寝食を共にする
 キャンプで寝食を共にすることによって、より深い人間関係を作ることができます。
役割を果たす
 キャンプ生活をうまくやっていくためには、わがままばかりを言ってはおれません。だれもが持ち味を出し合い、役割を果たさなければなりません。
持ち味を作る
 自分が出した持ち味は、みんなに認められることでますます磨きがかかります。
仲間と共に伸びる
 一人ではできないことも、みんなで協力することによって達成できることの体験がキャンプの中にはたくさんあります。また、仲間と活動することを積み重ねて、人間的成長をしていきます。
仲間の中で変わって行く
 人間は、集団の中で人と人の交わりを通して影響しあい、新しい価値観に触れ、自己を認識し、変革していきます。
 
D.ドラマがある
目標がはっきりしている
 ストーリーを通して、自分たちが向かうべき目標がはっきりと分かります。また、その目標とストリートの関係が分かり、目標達成の度合いによってストーリーの成果が違いますから、より高い目標を目指すようになります。
同じ世界の共有
 同じキャンプ、一つのドラマをみんなで作っているという同じ世界の共有ができます。
新しい世界に入っていける
 ドラマの世界は、日常の世界と全く違う世界が作り出されます。その世界の中で心を開き、ふだんの生活の中で縛られていたものから解き放たれて行動することができます。
新しい自己への変身
 物語の中の登場人物として動くことにより、今までの自分であればできなかったこともできるようになってきます。また、そのことを自覚することによって、新しい自己の可能性を発見することができます。
 
ドラマキャンプの意義
 
 健康の回復、心の安定、人間関係の正常化、全人的成長、遊びの復権、自然との調和……ドラマキャンプは、現代の子ども達を救う一つの道です。

@ 第3のメディアとしてのドラマキャンプ
 第1のメディアは、新聞、書籍といった印刷メディアがあります。第2のメディアには、ラジオ、テレビなどの電波メディアがあります。これらはコミュニケーションの流れが一方通行であり間接体験となりますから、ぬくもりや香りといった人間を突き動かす情感に欠けるきらいがあります。
 ドラマキャンプは、最も人間味をもったメディアであり、そこに集うものが、受け手であると同時に送り手としてコミュニケーションの双方向化が成り立ちます。
 
A ものから心の時代へのメッセージ/生きる歓び作り
 欲しいものが容易に手に入る現代、豊かさの満足感は直接ものでは満たされなくなっ
ています。ドラマキャンプは「ものの豊かさ」から「心の豊かさ」ヘとらえ直します。
 
B 非日常的体験で感性リフレッシュ
 ドラマキャンプは、日常を離れ、本物や実物に直に触れ、自らも演じ、直接体験として理解し、納得し、感動します。つまり、非日常体験を通して感性のリフレッシュをはかることができます。
 
C 新しい文化の創造
 大量生産、大量消費を前提とした生活から、進んで生きがい、心の充足を求め、ものを大切にし、自然を守る生活が求められています。ドラマキャンプそれ自体が情報となり、新しい文化となります。
 
D 人間関係作り
 暖かい人間関係が求められている時代です。地位、学力、知性が優先するタテマエの世界ではなかなかつかめません。知らないもの同士が集まり、人間の交歓と理解を深めるドラマキャンプでは、文句抜きの人間関係を作ります。
 
E 遊びの復権
 遊びは子どもにとってすべての基となります。ドラマキャンプの感動は『原体験』となり、これからの成長の礎となります。
 
F 自然保護
 今、自然保護が叫ばれています。自然の中で自然とふれあうドラマキャンプは、子ども達に自然の大切さを教えてくれます。
 
G 手作りキャンプが作るコミュニティ
 ドラマキャンプでは、仲間の共感、連帯ができ、新しい文化的創造につながっていきます。そして、ここで得たものを地域や学校に持って帰ることによりコミュニティの担い手となります。
 

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