5−14.イニシアティブゲーム
 
 イニシアティブゲームは、設定された精神的・肉体的課題に対してメンバー一人一人の持ち味や能力を出し合い、グループで協力して解決するプログラムです。
・ 課題の解決方法には正解とか間違いがあるわけではありません。
・ メンバー全員がそれぞれの持ち味を出し合い、一つになって取り組むことが大切です。
・ 課題解決の過程においてグループ内でのコミュニケーションが活発になり、信頼感や協調性が生まれてき、仲間作りに大変効果的です。
・ 自然の中で行うことにより、参加者の冒険心をそそり、変化にとんだ内容になります。
 
【支援のポイント】
@ 各課題の目的、やり方、ルール等について熟知しておきます。
A 自然環境、グループの特徴等の状況に対応できるようにやり方やルールの応用型を準備しておきます。
B メンバー自身が自分たちの力だけで挑戦できるように、メンバーのレベル(年齢、体力、男女比、経験等)を配慮した課題を選択します。
C 出来る限り最後までやらせます。
D 課題は、易から難、単純から複雑へという具合に配列します。
E 課題解決に対する動機づけを高めるように工夫します。
 ・ 時間制限を設けたり、ストーリーを作ったり、他のグループの解決時間を紹介する等
F スタッフは、見守る立場にあることを自覚しておきます。
 ・ スタッフの行き過ぎた助言は、メンバーのユニークなアイデアやメンバー相互の好ましい人間関係、課題を達成したときの満足感等を奪ってしまうことになります。
G スタッフは、安全への配慮を常に怠らないようにします。
 ・ 切り株、ガラスの破片、落下等に注意します。
H 課題を解決したら、その成功を喜んであげます。
  なぜ成功したのか、他に方法はなかったのか、全員が協力していたか等の振り返りの時間を設けます。
 
【準備物】必要に応じて□ゲーム用品□ロープ□バンダナ等
【活動の流れ】
@ 課題の認知、受容……グループに対して課題を提示します。
A 課題の分析、思考……課題解決の方法をグループで考えます。
B 課題解決の計画………メンバーのアイデアを持ち寄り、解決方法を決定します。
C 課題解決の実施………解決方法に従って解決していきます。
  ・ うまく解決できないときは、Aに戻ります。
D 課題解決………………課題が達成されます。
E ふりかえり……………グループがどのように動いたかを振り返ります。

イニシアティブゲームの例
 
【1・アイスブレーク】
 初めて出会うもの同士、お互いを知り、グループの雰囲気を和らげます。
日本列島  
 小さなプレートの上に、メンバー全員が乗ります。
『準備物』プレート(切り株があればなおよい)
『方法』
@ メンバー全員プレートの回りに集まります。
A みんなで話し合って、地面に足がつかないように工夫して全員がプレートの上に乗ります。
B 工夫したことや難しかったことを振り返ります。
『ポイント』
・最初は大きいプレートから、段々小さくしていき課題を難しくしていきます、

人間知恵の輪
 絡み合ってつないだ手を離さないで、一つの円になります。
『準備物』特に無し
『方法』
@ メンバー全員が集まり、片方の手でだれかとつなぎます。
A 右手はつないだままで、手をつないでる人以外で、隣の人でない人ともう一方の手をつなぎます。
B みんなで相談して、手をつないだまま一つの円に戻していきます。
C 工夫したことや難しかったことを振り返ります。
『ポイント』
・手のつなぎ方によって、どうしても円になれないときは、一回だけ手をつなぎ変えても良いといった条件を出します。

ラインナップ
 丸太の上で指示されたように並び変えます。
『準備物』丸太や角材(風倒木などがあればなおよい)
『方法』
@ メンバー全員が1本の丸太の上に乗ります。
A リーダーは、並びかえる順を言います(誕生日順、身長順、あいうえお順など)
B メンバーは、丸太から下りないで、指示された順に並び変えます。
C 工夫したことや難しかったことを振り返ります。
『ポイント』
・言葉を使わないなどの課題を加えてもよい。
 
モンスター
 班全員で指定された数だけ手や足をついて、ゴールまで移動します。
『準備物』特に無し
『方法』
@ メンバー全員スタートに集まります。
A リーダーは、地面についてもよい数を言います。
B メンバーは相談して、指示された数だけ地面につくように組み合わさります。
C そのままの形で、スタートからゴールまで移動していきます。
D 工夫したことや難しかったことを振り返ります。
『ポイント』
・地面についてもよい数は、(メンバーの数−2)くらいが適当です。

エレクトリックフェンス
 木と木と間に張られたロープに触らないように乗り越えます。
『準備物』木と木の間にロープを張っておきます。
『方法』
@ ロープの前で、全員手をつないで輪になります。
A ロープとロープの下には高圧電気が流れていますから、ロープにさわったり、ロープの下をくぐることは出来ません。
B 手をつないだまま、全員がロープを乗り越えます。
C 工夫したことや難しかったことを振り返ります。
『ポイント』
・手を離したり、ロープに触れたらやり直します。

毒ぐもの巣
 ロープのくもの巣に触らないように、網の目を通り抜けます。
『準備物』木と木の間に人が通れるくらいの網の目状に張ったロープ
『方法』
@ ここには毒ぐもが隠れています。この毒ぐもの巣にさわらないように通り抜けます。また、1度通った穴は別の人は通ることは出来ません。
A みんなで相談して、くもの巣にさわらないように通り抜けます。
B 工夫したことや難しかったことを振り返ります。
『ポイント』
・くもの巣にさわったら、もう一度初めからやり直します。
 
 
熊の爪
 みんなで協力して、なるべく木の高いところにロープを結びます。
『準備物』1本の立ち木とロープ
『方法』
@ メンバーは全員で1ぴきの大きな熊です。したがって、全員がほかの人の身体のどこかに触れていなくてはいけません。
A 全員がだれかに触れたままで、なるべく木の高いところにロープを結びます。
B 工夫したことや難しかったことを振り返ります。
『ポイント』
・一人だけが木に登ってロープを結んではいけません。
・バランスを崩したり、落ちると危険ですので、1人サポートする人をつけておきます。
 
【2・コミュニケーション】
 与えられた課題に対して、自分の意思をメンバーに伝えたり、意見を聞いたり、体を使って表現します。また、リーダーシップが発揮されます。

ブラインドラインアップ
 目隠しをして、指示された順番に並びます。
『準備物』目隠し用のバンダナ
『方法』
@ 全員目隠しをします。
A リーダーは並ぶ順を言います。(誕生日順、身長順、あいうえお順など)
B メンバーは、目隠しを下ままで指示された順に並びます。
C 目隠しを取って、確認します。
『ポイント』
・言葉も使わないなどの課題を加えるとよりいいでしょう。
 
ブラインドテント
 目隠しをして、みんなで協力してテントを立てます。
『準備物』目隠し用のバンダナとテント
『方法』
@ テントの前で、全員目隠しをします。
A 目隠しをしたまま、みんなで協力してテントを立てます。
B 目隠しを取って、確認します。
『ポイント』
・ドームテントのような組み立て方が余り複雑でないものがよいでしょう。
・事前に、目隠しをしないで組み立てる体験をしておいてもいいでしょう。
 
 
ブラインドスクウェア
 目隠しをしてロープで四角形を作ります。
『準備物』目隠し用のバンダナとロープ
『方法』
@ 全員目隠しをして、輪にしたロープを持ちます。
A みんなで相談しながらロープを持ったまま四角形になります。
B 目隠しを取って、確認します。
 
【3・信頼】
 高度な課題になってくると、肉体的にも精神的にも恐怖感が生たり危険度が増します。そこで、メンバーがお互いに信頼することがとても大切になってきます。

決死のダイブ
 目隠しをして、台の上から飛び降ります。
『準備物』目隠し用のバンダナ、高い台と低い台
『方法』
@ まず1人、高い台の上に上がります。
A 残りのメンバーは、低い台の回りを取り囲みます。
B 高い台の人は、目隠しをして、低い台の上に飛び降ります。
C 残りのメンバーは、飛び降りたときバランスを崩したり、倒れないように手を延ばして補助します。
D 順番に飛び降りる人が交代します。
E 飛び降りたときの感想を振り返ります。
『ポイント』
・無理にやらさないで、出来るまで待ちます。
 
バックフライング
 後ろ向きで、台の上からメンバーの手のベッドに倒れます。
『方法』
@ 1人が台の上に立ちます。
A 残りのメンバーは2列に向かい合って並び、向かい合ってる人と両手をつなぎ、手のベッドを作ります。
B 台の上の人は後ろ向きになり、飛び降りる前に「いきます」と合図をします。残りの人は「OK」と返事を返します。
C 台の上の人は、後ろ向きのまま、手のベッドの上にいぽの棒のように倒れます。
D 順番に飛び降りる人が交代します。
E 飛び降りたときの感想を振り返ります。
『ポイント』
・身体を曲げて倒れると、一か所に体重がかかり危険ですので、まっすぐ倒れるように注意します。
【4・問題解決】
 難度の高い課題に対して、試行錯誤を繰り返しながら、コミュニケーションを深めます。自分の意見を主張したり、相手の意見を聞いたりして、異なった意見をまとめていかなければ課題が達成できません。

ビーム
 みんなで協力して、丸太を乗り越えます。
『準備物』木と木の間に渡した丸太と、その両側の地面に引いたロープ
『方法』
@ 全員片方のロープの外に立ちます。
A ロープの中に入らないようにして、全員で協力して丸太を乗り越えて、向う側のロープの外に下ります。
B 工夫したことや感想を振り返ります。
『ポイント』
・バランスを崩さないように、安全をサポートする人を1人つけます。
・ヘルメットなどかぶらせておくと、より安全です。

ウォール
 みんなで協力して高い壁を乗り越えます。
『準備物』木と木の間に作った高い壁。壁の裏側には、全員がのれる足場を作っておきます。
『方法』
@ 全員壁の前に集まり、壁を乗り越える方法を相談します。
A みんなで協力して、全員壁を乗り越えます。
B 工夫したことや感想を振り返ります。
『ポイント』
・衣服やバンドをロープ代りに使わないようにします。
・バランスを崩さないように、安全をサポートする人を1人つけます。
・ヘルメットなどかぶらせておくと、より安全です。
 
アマゾン
 みんなで協力して、与えられた道具で水の中のバケツを取ります。
『準備物』池(又はプール)の中に置いたバケツ、足場板、木の棒、ロープ1本
『方法』
@ 池の中のバケツをどのようにしたら取ることができるか相談します。
A 足場板、木の棒、ロープを使いみんなで協力してバケツを取ります。
B 工夫したことや感想を振り返ります。
 



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